連載 ~知っているようで,実は十分に理解していない~ 医療に関する制度のあれこれ
第13回 感染症医療費助成
原田 なな子
1
1東京医科大学病院 総合相談・支援センター
pp.1221-1224
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika129_1221
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「感染症」といえば,ここ数年では,新型コロナウイルス感染症が世界で猛威を奮い,人々の生活スタイルから考え方までをも変えました.感染症は予防できる病気です.「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」の前文にもあるように,感染症の根絶は人類の悲願であり,医療の進歩が目覚ましい今日でも人類の脅威であり続けています.加えて,感染症はHansen病やヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)があげられるように,差別や偏見を生んできたという面ももっています.つまり,感染症治療には患者の人権を尊重しつつ,良質かつ適切な医療を提供するという,二つの側面があるのです.
本邦では,従来の「伝染病予防法」に代わり「感染症法」が施行され,2007年には「結核予防法」と統合されました.今後も感染症の変化に応じて,法改正や対策の充実がなされると思います.感染症医療費助成が適用される疾病は感染症指定医療機関で治療されることが多く,専門機関以外の病院では申請の場面に遭遇することは少ないかもしれません.本稿では,感染症法に基づく「感染症医療費助成」についてまとめます.
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