特集 便秘・下痢―医師必見のUp-to-Date 2020
特集のねらい
便秘・下痢の診療の難しさ,奥深さ,そしておもしろさ
松本 吏弘
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科
キーワード:
便秘
,
下痢
,
便通異常
Keyword:
便秘
,
下痢
,
便通異常
pp.2-4
発行日 2020年7月1日
Published Date 2020/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika126_2
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ヒトの体では,腸管内に流入する1日当たりの水分量は,飲食による水分と唾液,胃液,胆汁,膵液,腸液などの消化液を合わせた約9Lに及ぶとされている.このうち80%が小腸で吸収され,その残りのうち90%が大腸で吸収され便となって排出される.正常便は水分を70~80%含んでおり,水分量が70%未満になると便秘になり,80%以上になると下痢となる.便秘と下痢は,日常生活でよく経験するものであり,日常診療において遭遇する機会が多い.平成28年度の国民生活基礎調査では,便秘の有訴者率は男性2.5%,女性4.6%で,60歳未満では圧倒的に女性が多く,70歳以降は男性の比率が増え性差がなくなる傾向にある.一方,下痢の有訴者率は男性1.8%,女性1.5%で,男性では年代別でほとんど差がみられないが,女性では青壮年層と80歳以上の高齢者においてやや高い傾向にある.便秘と下痢といった便通異常は,消化器内科のみならずあらゆる診療科で診る機会があり,適切な対処が望まれる.そこで,内科だけでなくすべての診療科の医師にとって役に立つような内容を心がけ,本号では「便秘・下痢」の特集を企画した.
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