まい・てくにっく
左肺癌での#7郭清のコツ
浦本 秀隆
1
,
大出 泰久
2
1金沢医科大学呼吸器外科
2静岡県立静岡がんセンター呼吸器外科
pp.922-923
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu78_922
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左肺癌における#7リンパ節郭清は右より難易度が高い.その理由は下行大動脈の存在である.右側の#7リンパ節郭清と同じく,まず迷走神経を同定し,剝離・テーピングする(図1).郭清範囲の上縁は気管分岐部,足側はV6の上縁(『肺癌取扱い規約』上は左下葉気管支の上縁),奥側は食道と右主気管支の壁である.右側の場合はもっとも深い箇所,すなわち食道の壁をみつつ奥を先行して剝離し,左主気管支の壁で戻ってくるように最深部から郭清を開始するが,左側では下行大動脈,食道と背側の郭清範囲の壁が2段であることや,下縦隔スペースの症例ごとの個人差が大きいことから,手前から開始することが多い.その一方で,ある程度剝離して把持する組織を剝離したら後方に回り,迷走神経の腹側に存在する気管支動脈を制御する.再度,左主気管支の下縁から分岐部に向かって剝離する.リンパ節を直接把持しないように肺動脈の周囲の組織やリンパ節周囲の組織を把持し,手前に適度に牽引しつつ(この適度な牽引という表現がむずかしい.組織が引き抜けたりしないギリギリの強さで十分牽引し,同時に十分な術野が広げられ,対象とした組織に程よい緊張がかかるという意味である),Metzenbaum剪刀で剝離した後に切離する.
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