胸部外科女性医師のつぶやき
経験を力に
井坂 珠子
1
1東京女子医科大学呼吸器外科
pp.722
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu78_722
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私は東京女子医科大学第一外科(現呼吸器外科)へ入局し,外科医のキャリアをスタートしました.当時は心臓血管外科も診療していたため,心臓カテーテル治療,気管支鏡検査,心臓血管手術,肺癌治療と非常に幅広く多忙な日々でしたが,その分技術習得の機会にも恵まれました.幸いなことに指導熱心で理解ある上司や先輩に囲まれ,困難な場面も乗り越えることができました.しかし一方で,「女性なのに外科医?」というように周囲の反応が否定的であったこともありました.若い頃は患者さんに不安を与えないよう,「女性医師」であることを意識し,常に緊張感を持ちながらコミュニケーションを取っていました.それが次第に年齢を重ね,臨床経験だけでなく,いわゆる「人生経験」を積み重ねていく中で,私自身の対応も大きく変わったと感じています.患者さんやご家族の趣味,背景に共感を示し,柔軟に検査・治療を提案できるようになりました.
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