1枚のシェーマ
膜様部の連続性を確保した気管分岐部切除・再建術
高濱 誠
1
1JCHO大阪病院呼吸器外科
pp.1124
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu77_1124
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症例は70歳台,女性.右上葉原発の腫瘍が右上葉気管支を完全に閉塞させ,右上葉は完全無気肺となっていた.右主気管支を中枢側で竜骨に切り込むように切断し,右主気管支を右上葉とともに摘出した.中枢側気管支断端を迅速組織診断に提出すると陽性の診断であり,端々吻合での再建は断念し気管分岐部切除を追加することとした.気管および左主気管支の授動を十分に行った後に気管を切除した.気管切除の際に左側の膜様部を完全には切り離さずに気管軟骨のみ切離した.膜様部が固定されているため,気管支の軸が安定することで吻合は容易となり,気管-左主気管支,新分岐部作成,気管-右中間幹の順に,4-0 PDS II(Ethicon社)を用いて単結節吻合を行った.吻合部の被覆は施行しなかった(図1).
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