1枚のシェーマ
頸部食道癌根治的化学放射線療法後の気管食道瘻に対する瘻孔閉鎖および右側結腸による食道バイパス術
渡邊 雅之
1
1がん研有明病院・消化器外科
pp.710
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu76_710
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症例は初診時76歳,男性.頸胸境界部食道癌(CeUt)cT4bN1M0,胸部下部食道癌(Lt)cT2N0の2病変であった.喉頭温存を希望され化学放射線療法を選択し,完全寛解となったが頸部食道に瘢痕狭窄が残った.1年後に下部食道癌の再燃を認め,救済手術を行った(中下部食道切除,胸腔内食道胃管吻合).頸部食道の瘢痕狭窄に対して食道ブジー拡張術を繰り返していたが,術後3年目,ブジー後に気管食道瘻を発症した.胸骨部分切開下に喉頭温存して頸部食道切除,瘻孔閉鎖し,大胸筋弁で縫合部を被覆した.胸骨後経路で右結腸グラフトを挙上して食道バイパス術とした(図1).経口摂取可能となり退院した.初診から7年,本手術から3年後に呼吸不全で死亡したが,再発はなく,亡くなる直前まで経口摂取が可能であった.
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