書評
『呼吸器外科手術アドバンス[Web動画付]』
鈴木 健司
1
1順天堂大学呼吸器外科
pp.964
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu73_964
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- 文献概要
呼吸器外科手術のほとんどは肺機能の低下を前提としている.肺機能の低下を回避するためには肺の温存を余儀なくされるわけであるが,諸家の報告によれば肺を温存することによって肺悪性腫瘍の局所再発の頻度が高まる.局所進行肺癌に比べて悪性度が低い小型肺癌ですら,肺葉切除を縮小切除にすることによって局所再発が増えると報告されているので,局所進行肺癌においてはなおその傾向が強まるのである.つまり,肺機能をいかに温存するかという術後のperformans statusに大きくかかわる短期的成果と,癌の根治という長期的成果は相反するものであり,双方を最大化するためにその落としどころが呼吸器外科医には求められている.
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