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特集 一般・消化器外科 最新の術前・術後補助療法
II. 各論
3. 大腸
1)結腸癌に対する術前・術後補助療法―現状と最新のエビデンス
Neoadjuvant and adjuvant therapy for colon cancer:current review and latest evidences
井上 彬
1
,
賀川 義規
1
,
大里 祐樹
1
,
西沢 佑次郎
1
A. Inoue
1
,
Y. Kagawa
1
,
Y. Ozato
1
,
Y. Nishizawa
1
1大阪急性期・総合医療センター消化器外科
キーワード:
結腸癌
,
補助療法
,
リキッドバイオプシー
,
個別化医療
Keyword:
結腸癌
,
補助療法
,
リキッドバイオプシー
,
個別化医療
pp.1107-1117
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka85_1107
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本邦および欧米のガイドラインによると,切除可能な結腸癌に対する現在の標準治療は手術±術後補助化学療法である.結腸癌の術後補助化学療法のエビデンスはほぼ確立しており,大規模臨床試験の統合解析[International Duration Evaluation of Adjuvant Chemotherapy(IDEA)collaboration]により,再発リスクに応じた3ヵ月または6ヵ月のoxaliplatin併用療法が推奨されている.
近年,再発リスクの高い結腸癌に対する治療のオプションとして術前補助化学療法(NAC)が考慮され,FOxTROT試験でもその有効性が示された.また,DNAミスマッチ修復機能に欠損がある腫瘍(deficient mismatch repair:dMMR)/高頻度マイクロサテライト不安定(micosatellite instability-high:MSI-H)大腸癌に対する術前免疫療法の有効性がNICHE-1/-2試験で報告され注目を集めた.
さらに,血液中に循環する腫瘍由来のDNAを検出するリキッドバイオプシーが大腸癌の再発リスクを正確に層別化できることがDYNAMIC試験とGALAXY試験で報告された.将来的には,ゲノムだけではなくマルチオミクスのビッグデータを人工知能(AI)で統合解析した究極の個別化医療が期待される.
© Nankodo Co., Ltd., 2023