運動器疾患の画像診断
MRI診断 椎間板障害に対するMRI MRIによる椎間板変性度とT2緩和時間の関係
高島 弘幸
1
,
竹林 庸雄
,
山下 敏彦
1札幌医科大学附属病院 放射線部
キーワード:
画像強調
,
感度と特異度
,
MRI
,
椎間板
,
椎間板変性症
,
横緩和時間
Keyword:
Image Enhancement
,
Intervertebral Disc
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Sensitivity and Specificity
,
Intervertebral Disc Degeneration
pp.119-123
発行日 2012年10月25日
Published Date 2012/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2013043391
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MRIによる椎間板変性度分類は、PfirmannらによるT2強調画像を用いた分類法が知られているが、この方法は視覚による主観的評価であるため定量性に欠けるという問題点がある。一方、最近のMRIでは様々な機能的画像法が研究され、なかでもT2マップは水分含有量をT2緩和時間(以下T2値)で定量化することが可能なことから、軟骨病変の早期検出や治療効果判定などに用いられている。さらにT2値は椎間板のプロテオグリカン含有量も反映すると報告されていることから、椎間板のT2値を計測することで椎間板の生理的変化や変性を定量的に評価できる可能性がある。そこで今回、主観的評価であるPfirmann分類をT2マップによって定量化し、客観的評価に基づく分類の構築を試みた。方法は、腰痛や下肢痛のため腰椎MRIを撮像された50例の画像を資料とし、放射線科専門医がL1/L2~L5/S1の椎間板変性度をPfirmannらの方法に従ってgrade I~Vに分類するとともに、L1/L2~L5/S1のT2値を計測し、gradeごとのT2平均値を算出した。T2値の計測部位は「前方線維輪」「髄核」「後方線維輪」の3ヶ所とした。このうち「髄核」のT2値はgradeの進行に伴って低下傾向を示し、grade I~IVの各grade間には有意差が認められた。「前方線維輪」と「後方線維輪」のT2値はgrade間の有意差を認めなかった。
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