臨床経験
高齢者の不穏に対して塩酸diphenhydramine投与が有用であった8例
松井 謙明
1
,
中舎 晃男
,
前野 美詠子
,
松井 隆明
,
中村 和彦
1福岡市医師会成人病センター
キーワード:
Diphenhydramine
,
胃腸炎
,
腫瘍
,
精神運動性興奮
,
認知症
,
投薬計画
,
治療成績
,
傾眠
Keyword:
Dementia
,
Drug Administration Schedule
,
Diphenhydramine
,
Gastroenteritis
,
Neoplasms
,
Psychomotor Agitation
,
Treatment Outcome
pp.162-164
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014262312
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
3年間に入院した高齢者のうち、入院前より認知症を有し不穏状態にある、あるいは認知症はないが入院中に不穏を発症した8例に対し、認知症や不穏の状態を勘案して塩酸diphenhydramine(30~120mg)を内服投与した。内訳は男5人、女3人、平均年齢85歳、認知症は6例であり、非定型抗精神病薬や鎮静薬でコントロールがつかなかった症例は4例であった。塩酸diphenhydramine投与後はほぼ全例が傾眠傾向となり、不穏は消失したが、外部からの刺激で容易に覚醒し、食事や移乗も可能であった。また、投与中止後は約1日で投与前の状態まで覚醒するため、コントロールも比較的容易と考えられた。塩酸diphenhydramineは高齢者においても若年者と同等の鎮静効果を有し、副作用頻度もほぼ同等であることから、高齢者の不穏対策に有用と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2014