これからの高齢者医療-診断・治療・予防への対応
《高齢者の特性を理解する 生理機能の加齢変化》精神機能の加齢変化
和田 健二
1
,
中島 健二
1鳥取大学 医学部脳神経医科学講座脳神経内科学分野
キーワード:
加齢
,
記憶障害
,
精神運動性興奮
,
精神障害
,
前頭葉
,
抑うつ
,
人格変化
Keyword:
Aging
,
Mental Disorders
,
Depression
,
Frontal Lobe
,
Memory Disorders
,
Psychomotor Agitation
pp.952-956
発行日 2011年12月1日
Published Date 2011/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012088909
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・加齢による知能の変化には、加齢に抵抗する要素と加齢に伴い低下する要素が存在する。・加齢により近時記憶の低下がみられるが、生理的な加齢では出来事の一部のみを忘れるにとどまり、自発的に再生ができなくても、手がかり再生や再認は保たれる。・記憶過程(記銘-把持-想起)の機能低下のほかにも、注意力の低下、遂行機能、作動記憶などの前頭葉機能低下も加齢による記憶力の低下に関連している。・高齢者では経験に基づく物事の重要性を基準に単純化して判断する傾向にあり、内省力と柔軟性が低下し、紋切り型思考が増加する。・高齢期には欲動は低下し抑うつ傾向となるが、日常生活に支障をきたすような明らかに異常な感情変化を認めた場合は、脳の器質的異常を念頭に置く必要がある。
©Nankodo Co., Ltd., 2011