発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011244792
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多嚢胞性卵巣症候群34例について、診療録を用いレトロスペクティブに解析した。年齢は平均24.6±5.5歳、BMIは29.8±8.6kg/m2であった。肥満の有無により非肥満群10例、肥満群24例に分け比較したところ、BMIは各々20.2±18.kg/m2、33.7±7.0kg/m2で、肥満群は有意に血圧が高く、多毛が多かった。内分泌学的検査では、非肥満群でLH、LH/FSH比ともに有意に高く、肥満群ではテストステロンが高かった。糖代謝については、肥満群で空腹時血糖、HbA1cともに高く、3例に糖尿病を認めた。また、肥満群ではインスリン抵抗性が強かった。脂質代謝については、肥満群で中性脂肪が有意に高く、総コレステロールおよびLDL-Cが高値で、HDL-Cは低かった。以上、多嚢胞性卵巣症候群は肥満群のようなインスリン抵抗性を基盤とした群と、非肥満群のような視床下部-下垂体-卵巣系経路の活性化が主体の群の2群に分けられ、その病態により症状や合併症が異なると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011