診療controversy medical decision makingのために 軽度認知障害(MCI)の診療
定期的経過観察がまずは必要
濱本 真
1
1日本医科大学千葉北総病院 神経内科
キーワード:
Alzheimer病
,
Cholinesterase Inhibitors
,
Vitamin E
,
鑑別診断
,
治療成績
,
Donepezil
,
軽度認知障害
Keyword:
Alzheimer Disease
,
Diagnosis, Differential
,
Cholinesterase Inhibitors
,
Vitamin E
,
Treatment Outcome
,
Cognitive Dysfunction
,
Donepezil
pp.926-929
発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011021881
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現在、本邦で使用可能な認知症治療薬は、アルツハイマー型認知症(AD)に対するアセチルコリン分解酵素阻害薬(AChEIs)のみである。さまざまな施設で、「物忘れ外来」が行われ、認知症の鑑別診断ののち、AChEIsの投与が行われているのが現状であろう。二重盲検試験(RCT)に基づくsystematic reviewsは、AChEIsはADにおいて早期から末期までのすべての段階で有効であるが、MCIにおいては効果も少なく、副作用が強く、明らかなADへの移行抑制効果もないため、投与を行う根拠はないとしている。現時点では、従来のMCIの定義はその役割を終え、2007年以降に発表された、アミロイド仮説による生化学的指標、神経放射線学的指標に基づく新たな診断基準によるADを原因とするMCIの診断と診療の段階に入った。
©Nankodo Co., Ltd., 2010