急性腎不全 AKIシラバス
内科医が知っておくべきAKIの主な病態 肝腎症候群とAKI
渋谷 祐子
1
1NTT東日本関東病院 高血圧・腎臓内科
キーワード:
肝腎症候群
,
肝臓移植
,
急性腎障害
Keyword:
Hepatorenal Syndrome
,
Liver Transplantation
,
Acute Kidney Injury
pp.49-51
発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008258124
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肝腎症候群(HRS)とは、重症の肝疾患に認められる機能的腎不全をいう。発症形態から2型に分類され、Type Iは、敗血症、消化管出血などが発症に関与し、急激な発症と進行をとり(2週間以内にsCrが前値の2倍、あるいはsCrが2.5mg/dl以上になる)、1~4週間以内に死亡と予後がわるいと定義され、HRSのType Iが、いわゆる急性腎障害(AKI)である。発症機序は、門脈圧上昇に伴い末梢血管抵抗が低下し、有効循環血漿量が減少し、レニン・アンジオテンシン系、交感神経系の亢進、ADHの上昇により、腎血管が収縮、腎でのNa再吸収が上昇、腎機能が低下する。治療は、全身血管収縮薬、バソプレシン類似体、門脈静脈シャント、血液浄化療法などである。根本的治療は肝臓移植である。
©Nankodo Co., Ltd., 2008