発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2006268947
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心筋梗塞などの急性冠動脈疾患の多くは,炎症細胞に富み,コラーゲンに乏しい動脈硬化プラークの破綻と血栓形成により誘導されると推定される.高脂血症,とくに高LDL-C血症が動脈硬化を促進することは動物実験,疫学調査に基づき,長年にわたり知られていたが,スタチン系薬剤を用いたLDL-C低下により急性冠動脈疾患を予防しうることがようやく証明されたのは1990年代のことである.基礎研究からは,脂肪低下が炎症を改善することが示され,スタチン大規模試験ではLDL-C低下に平行して,イベント抑制効果が認められている.スタチン系薬剤はLDL-C低下と独立した抗炎症・血栓作用を有すると考えられるが,臨床においてLDL-C低下作用を超えたイベント抑制効果を発揮するかは明らかでない
©Nankodo Co., Ltd., 2006