発行日 2002年9月1日
Published Date 2002/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2003019815
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39歳女.交通事故により受傷した.頸椎捻挫と前胸部挫傷の診断で入院し,安静と湿布で治療した.前胸部痛に加えて以前からの肩こり,上半身のほてり,下肢の冷感が増強した.漢方エキス薬の桂枝茯苓丸の投与を開始し,軽快したため退院した.受傷後,ドアの音等の大きな音に驚愕し,交通事故の夢を頻繁にみてうなされるようになった.乗車や仕事復帰は不可能であった.PTSDと診断し,デプロメールの投与を開始した.症状は不変で咽頭の閉塞感を訴えた.漢方医学的に,胸脇苦満を伴う気うつと診断し,柴朴湯の併用開始した.その後デプロメールは本人の希望があり中止し,桂枝茯苓丸と柴朴湯の併用とした.併用後約6週,自動車に対する恐怖心が薄らぎ始め,漢方薬の投与を減量した.更に3週後には自動車運転が可能となった.交通事故前から持続していた肩こりや不眠も改善し,約3年間処方されていたミオナール,デパスが不要となった
©Nankodo Co., Ltd., 2002