特集 急性期脳梗塞診断と治療法の進歩─ Time is brain からImaging is brain へ─
序説
渡邉 嘉之
1
1滋賀医科大学放射線医学講座
pp.1397-1397
発行日 2020年11月25日
Published Date 2020/11/25
DOI https://doi.org/10.15105/GZ.0000002000
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最近の15年間で治療法が大きく進歩した疾患のひとつに急性期脳梗塞がある.2005年にわが国で遺伝子組み換え組織型プラスミノゲン・アクチベータ(recombinant tissue-type plasminogen activator;rt-PA)静注血栓溶解療法(intravenous rt-PA;IV rt-PA)が認可され,積極的に血栓溶解療法を行う時代に入った.その後,適応時間が発症後3時間から4.5時間に延長され,血管内治療である機械的血栓回収療法のエビデンスが確立され,適応時間も発症8時間以内から24時間以内へ延長されている.この進歩には,各種デバイスの発展と画像診断による適切な患者選択の影響が大きい.脳梗塞治療では長い間“Time is brain”が提唱され,早く治療開始することが重要といわれてきた.特に,発症6時間以内の超急性期では早期治療介入が予後に直結し,できる限り短時間で画像診断を含む検査を行い,治療介入できる環境整備が進められてきた.実臨床では発症6時間以降での来院や発症時刻未確認の症例も多くあり,これらの症例に対しても画像診断で虚血領域を的確に判断することで再開通療法が有効であることが証明され,“Imaging is brain”の時代になったといえる.
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