特集 解剖と病態生理から迫る呼吸器画像診断
第Ⅰ章 マクロ解剖と病変の画像 4 上肺野に多い病変,下肺野に多い病変
山田 大輔
1
,
栗原 泰之
1
1聖路加国際病院放射線科
キーワード:
肺生理
,
プロテアーゼ・アンチプロテアーゼ不均衡
,
オキシダント・アンチオキシダント不均衡
Keyword:
肺生理
,
プロテアーゼ・アンチプロテアーゼ不均衡
,
オキシダント・アンチオキシダント不均衡
pp.A60-A74
発行日 2020年9月10日
Published Date 2020/9/10
DOI https://doi.org/10.15105/GZ.0000001895
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• 肺の血流量と換気量は重力に依存する.よって,上肺よりも下肺の方が,換気量,血流量ともに多い.しかし,上肺と下肺では肺循環血流量に対する肺胞換気量の割合(換気血流比)が異なり,上肺では換気優位,下肺では血流優位の状態となる.また,酸素の取り込みと二酸化炭素の除去の割合により肺内の水素イオン指数(pH)は上肺と下肺で異なり,上肺はアルカリ性優位,下肺は酸性優位である.
• 機械的ストレスや呼吸運動の大きさは上肺と下肺で異なる.リンパ流の駆動力は肺動脈圧と呼吸運動であり,呼吸運動の大きい下肺(肺底)は上肺よりもリンパ流の駆動力は大きい.
• 肺内の免疫機能は局所的に分布が異なる.特に近年,低酸素性肺血管収縮(HPV)という肺血管系に固有の“恒常性メカニズム”を基にした生物学的モデルが注目されている.
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