第1特集 プライマリ・ケア整形外来OSCE
よく遭遇する病態
腰の痛みにアプローチする
中西 章
1
,
大門 友博
1
1社会医療法人清風會 岡山家庭医療センター 湯郷ファミリークリニック
pp.1532-1537
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2025120003
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
2022年の国民生活基礎調査によると男女ともに腰痛は最も多い自覚症状である1).プライマリ・ケア医を受診する腰痛患者の85%は正確な診断がつかず非特異的腰痛症として治療されるが,30% は1 週間以内に,60% は7 週間以内に回復し,40% の患者が半年以内に再発する2).また危険信号(red flags)(表1)がなく神経症状を伴わない腰痛患者においてはX線撮影などの画像検査は必ずしも必要としない3).プライマリ・ケアの現場で遭遇する腰痛患者のほとんどは予後良好だが,注意深く問診,診察を行うことで骨折,腫瘍,感染など重篤な腰痛疾患,神経症状を伴う腰痛を見逃さないことが重要である.腰痛患者の診療の流れを図13)に示す.
その他の腰痛を起こす疾患頻度として椎間板ヘルニア4%,圧迫骨折4%,脊柱管狭窄症3%,脊椎すべり症3%,悪性腫瘍0.7%,炎症性疾患0.3%,感染症0.01%との報告がある2).

Copyright© 2025 NANZANDO Co.,Ltd. All Rights Reserved.

