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Ⅰ.はじめに
わが国のがん患者数は年々増加し,2008年に新たにがんと診断された患者は,749,767名と報告されている1).がんの治療法には,化学療法,手術療法,放射線療法などがあるが,昨今では,患者のQOLを考慮し,身体侵襲の少ない治療法を医療者・患者ともに選好する傾向にある.しかし,2010年におけるがんの治療別の割合をみると,化学療法70.1%,手術療法62.6%,放射線療法33.6%2)であり,治療法の併用を含め,現代の医療において手術療法は,がん治療の中枢を担っていることがうかがえる.
手術療法は,患者の生命確保を目的にがん組織やその周辺組織を切除する治療法である.そのため,術後は切除された臓器や器官の形態が変化するだけでなく,その機能は確実に変化あるいは喪失し,それに伴い生活行動が変容する.
患者が手術を受けることを意思決定するにあたり,特に全摘術の場合など,生命を確保するために,その機能を喪失するという,苦渋の選択を迫られることが十分推測できる.しかし,患者会において,形態の変化や機能の変化・喪失は理解されていたが,それによる日常生活の変容については十分に理解されないまま手術を受けることを決定したという趣旨の訴えを聞く.がん手術後の患者のQOLを高めるためには,患者が術前に正確で十分な情報に基づいて検討し,納得して治療法を決定することが重要である.しかし,その意思決定のプロセスは,がんの宣告による衝撃,悲嘆,揺れる気持ちや苦痛を伴うことが十分に予測される.
そこで,がん患者がどのようなプロセスや影響を経て,手術を受けることを決断しているのか,手術を受けるがん患者の治療法に関する意思決定の構造を文献から検討する.
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