連載 作業療法を深める・第64回
ヤングケアラーと作業療法
森田 久美子
1
Kumiko Morita
1
1立正大学
pp.338-342
発行日 2022年4月15日
Published Date 2022/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202935
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はじめに
病気や障害のある家族等の介護を行う,ヤングケアラーと呼ばれる子どもを支援するための取り組みが始められている.ヤングケアラーについて,2021年(令和3年)4月,内閣府は「子供・若者育成支援推進大綱」において「困難を有する子供・若者」に位置づけ,国として対応に取り組む方針を打ち出している.これを受け,同年5月には,厚生労働省と文部科学省とが共同で立ち上げた「ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム」が,ヤングケアラーへの支援施策を取りまとめた.ここで取りまとめられた支援施策の柱は,①早期発見・把握,②支援策の推進,③社会的認知度の向上である1).ヤングケアラーへの認知度はこれまで低く,ヤングケアラーとその家族を支援する体制が十分ではなかったことから,ヤングケアラーへの社会的認知を高めていくとともに,各自治体において,ヤングケアラーを早期に発見・把握し,子どもとその家族を必要な支援につなげる体制を整備することが求められている.
これらの支援施策については,福祉・介護・医療・教育の多領域の機関・専門職の連携によって進められていくことが必要となる.そこで,本稿では,ヤングケアラーとはどのような子どもで,どのような取り組みが必要とされているのかをみていくことを通じて,ヤングケアラーの支援において作業療法に期待されることは何かについて考えていく.
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