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編集後記
小西 文雄
pp.374
発行日 2003年8月15日
Published Date 2003/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900434
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本邦における腹腔鏡下手術は1990年における腹腔鏡下胆嚢摘出術からはじまった.腹腔鏡下胆嚢摘出術はその後,手術機器の開発と手技の発展によって急速に普及し,数年で胆石症に対する一般的な手術となった.現在では,特別な理由がない限り,開腹で胆嚢結石症に対する胆嚢摘出術が施行されることは少ない.このような腹腔鏡下胆嚢摘出術の普及には,外科医の積極的な姿勢,学会や学術雑誌などによる手術手技や手術結果の分析の報告,また,トレーニングシステムの確立などが大きな役割を果たしたことは言うまでもない.その後,さらに高度の技術を要する腹腔鏡下手術として,大腸切除術,胃切除術,脾摘出術などが施行されるようになり,しだいに症例数も増加している,さらに最近では,膵や肝の切除に腹腔鏡の技術が導入されつつある.
大腸切除術や胃切除術などのadvanced laparosocpic surgeryは,はじまってからそれぞれ10年,9年が経過しているが,これらの腹腔鏡下消化管手術は胆嚢摘出術と比較すると,まだまだ一般的に広く普及している状況ではない.腹腔鏡下胆嚢摘出術の普及によって開腹で行われる胆嚢摘出術が少数となっている,という傾向とはかなり異なっている.その理由として,胃切除や大腸切除およびそれに伴って施行されるリンパ節郭清の技術的な困難性と,癌に対して施行された際の遠隔成績がいまだ明確でないという2点が挙げられる.技術的な困難性は大きな問題点である.
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