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編集後記
小西 文雄
pp.476
発行日 2001年10月15日
Published Date 2001/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900267
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本号の特集は「内視鏡下手術のトレーニング・システム」である.内視鏡下手術と比較して開腹手術では,「トレーニング」ということが特集号の主題にされることはめったにない.また,開腹手術においては「トレーニング」という言葉を耳にすることすら少ない.その理由の1つとして,腹腔鏡下手術では高度の技術的修練が必要とされるということが考えられる.とかく学会発表においては,内視鏡下手術は視野が良好で,手技的にも簡単で誰にでもできる,といったイメージを与えるような傾向がある.実際は油汗をかきながら行っているような手術であっても,演者の明解な説明を聴き,要所要所のみが編集された手術手技のビデオを軽快なリズムの音楽をバックに供覧されると,明日からでも誰にでもできるような手術であるかのような錯覚にとらわれる.私は常々,このような腹腔鏡下手術の供覧の仕方に疑問を持っている.手術が適切,かつ安全に行われるためには,アニマルラボ,さらにhands-on trainingを基本としたトレーニング方法についての十分な検討を重ねる必要があると思われる.特に,現時点では症例数が少ない手術,トレーニングコースで言えばadvanced courseの対象となるような,大腸切除,胃切除,噴門形成,脾臓摘出などでは,術者と助手を一定させて,継続的に臨床例に取り組む必要性を感じている.
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