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編集後記
堤 治
pp.576
発行日 2002年10月15日
Published Date 2002/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900357
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本号の特集は「肝疾患に対する内視鏡下手術のUp to Date」である.各外科領域でminimally invasive sur-geryが取り入れられ,内視鏡下手術が行われるが,他領域特に婦人科に属するものからみると,肝疾患に対する内視鏡下手術の進歩は誠に驚嘆に値する.本後記の筆者が学生の頃は,肝切除術は開腹でも多量の出血を伴い,きわめて難度の高いものと見聞きしていた.本特集では肝切除術はもちろん,肝細胞癌においても適応とされ実績を上げていることがわかる.隔世の感があるのは,超音波凝固切開装置など周辺機器の進歩に支えられている部分もあろうが,この領域をリードする先達の努力の賜物と敬意を表するものである.
内視鏡下手術は三次元の臓器を二次元のモニター上に映しだし,閉鎖された空間のなかで多くの場合特殊な周辺機器を用いて行われる.昨今,医療に関して様々な問題がメディアでも取り上げられている.内視鏡下手術について,その低侵襲性や有用性が広く国民に理解される機会としては歓迎すべきであるが,報道される事例のなかには安全性について誤解を招きかねないものもあり,内視鏡下手術の健全な普及に合致しないものもある.内視鏡下手術には周辺機器の理解,高度な技術が要求されており,教育やトレーニングの必要性を痛感する.各領域で一定のレベルの基準を設定し,さらに技術を高めていく必要があろう.それに際して,学会や学会誌の果たすべき役割は大きいと思われる.
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