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第29巻第1号が発刊される頃は2024年を迎えていると思います.ダイヤモンド・プリンセス号から始まったパンデミックから4年が過ぎました.病院内の制限はまだまだ残っていますが,日常生活はかなり戻りました.この間に大きく変わったことの一つが学会の総会ではないでしょうか.ハイブリット開催が当たり前となり,ある意味大変便利になりましたが,以前のように人であふれかえるような総会がないことに寂しさを感じています.
さて,本号は,原著3編,症例報告5編,私の工夫1編,video articles2編,アンケート報告1編,Letter to the Editor1編を掲載しております.原著では,ロボット支援胃切除後の皮下気腫発生率低下の工夫はロボットを扱う科で領域横断的に参考になると思います.また,完全直腸脱に対して腹腔鏡下直腸固定術を行う際に術中経肛門的吸引試験により術中に直腸脱を再現し,術式を選択し再発率を低く抑えています.われわれの産婦人科医が扱う骨盤臓器脱に対する仙骨腟固定術にも生かせる情報が満載でした.次に,手掌多汗症に対する胸腔鏡による交感神経遮断術が行われていることを,恥ずかしながら初めて知ることができ,更年期障害にも実はこのような症例があったのかもしれないと領域横断雑誌ならではの知識を広げることができました.症例報告では,上大静脈に接する特発性奇静脈を胸腔鏡で切除した症例や腹壁瘢痕ヘルニア囊内の魚骨穿孔に対する腹腔鏡手術の症例など,低侵襲手術に関連した稀な症例が満載です.私の工夫では,TAPP法におけるメッシュ固定の方法として,現在さまざまな領域で使用されているBarbed sutureを使用した工夫が紹介されています.第28巻第6号から始まったvideo articlesでは,結腸・直腸癌に対するロボット手術が5分弱のvideoでまとめられています.
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