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今年の初夏は梅雨明けが遅く,昨年と同様に大雨による水害が頻発しました.皆様の周辺は大丈夫でしたでしょうか? 本号の編集後記を執筆させていただいている7月下旬には参議院選挙が行われ,芸能界では闇営業から端を発したパワーハラスメントの問題など,話題が盛りだくさんの時期でした.とりわけパワーハラスメントは,働き方改革と同様に我々医学界にも深く関連している問題です.我々の研修医時代(昔よりは良くなったかもしれませんが)は,指導医から怒られて成長する,給料よりも経験を得たい,少しでも同期よりも手術を経験したい,という気持ちで日常診療に臨んでいました.しかし,どうやら最近は違うようです.パワーハラスメントと指導をどこで線引きするのか,その境界の見極めが困難な場合も多いと思います.また,当事者間の問題のみならず,周りの人がそう感じてしまうとパワーハラスメントと認定されます.外科領域では技術を伝承していかなければならず,その過程でいかに効率よく(怒らずに)指導していくのか,各科で悩まれていることと察します.我々の時代の技術の習得は,目でみたことの記憶を頼りにして術前にイメージし手術に臨んでいました.しかし,内視鏡手術が全盛の現代では,手術のほとんどすべてが記録されており,手術の復習は容易になりました.一方,復習の深さは個人により差があると思います.うまく復習できる外科医は成長が早いと感じます.働き方改革においては,時間外労働と自己研鑽(学会や論文の執筆など)の線引き,仕事量の分担(看護師やコメディカルを含めた),労働時間短縮による給与の減少,など各病院や部署で取り組むべき問題も散見されます.きっと学会員の皆様も我々と同様に日々悩まれているでしょう.
効率よく経験を得るために本学会誌などで知見を得ることは重要なことです.本号では,症例報告10編,手術手技2編の計12編が採用になっています.いずれの論文も腹腔鏡,胸腔鏡手術の利点を生かした症例や手技の工夫が記載されています.学会員の皆様の日常診療に役立つ内容になっていますので,是非ご一読ください.
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