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外科医の減少が危惧される中,日本内視鏡外科学会(JSES)の会員数は年々増加している.その数は今では12,000人を超え,学会の運営に携わる評議員も880人に達している.その人気の理由は,やはり本学会が,「内視鏡外科」というテーマのもと,外科医の王道とも言える「手術手技」にこだわり続け,創意工夫と新しいテクノロジーの革新を積み重ね社会に貢献してきたためと考える.一方,新しい手術手技の発展には,必ず,客観的,科学的な評価方法のもとに従来手術と比較した有用性や安全性が示されることが必要である.新しい手術手技の開発,改良,そして標準化を支えるサイエンスの根幹の一つが本学会誌の役割だと感じている.
本誌は1996年に創刊され,今年でちょうど20年を迎えた.その赤を基調とした表紙には,先人たちの絶え間ない努力と情熱が感じられ,私は秘かに本誌を和製レッド・ジャーナルと呼んでいる.そしてこの度,渡邊昌彦新理事長のもと,この歴史と伝統ある本誌の編集委員を担当することとなり,大変光栄に感じている.本誌への投稿の特徴は,比較的若手外科医が多く,大学のみならず市中病院における手技の工夫やデバイスの開発,それらに関する症例報告などが毎月数多く寄せられている.11名から構成される編集委員会では,毎回,一つ一つの投稿論文を目の前に皆,真剣勝負であり,新知見・論理性・倫理性に基づいて厳格に評価するだけでなく,どのように加筆修正したら掲載に値するかを徹底的に議論している.優れた原著論文に対しては学会英文誌への投稿も推奨している.今では2か月に1回の論文査読がとても楽しみになっており,編集会議は外科医の「創意工夫」,「着想の豊かさ」を知り得る“至福の場”でもある.
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