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編集後記
猪股 雅史
pp.586
発行日 2018年7月15日
Published Date 2018/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426200594
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今年4月1日にロボット支援内視鏡手術が保険収載された.7つの悪性腫瘍を含む12の術式を国は一挙に承認した.内視鏡外科の30年にわたる技術革新の歴史の中でも,とても画期的な出来事と言えよう.「3D」「7つの関節機能」「手振れ防止機能」「モーション・スケール」など,従来の内視鏡外科手術の弱点を補完するメリットを有し,外科医療のさらなる精度の向上へ社会からの期待が感じられる.
一方,今回の保険収載には大きな課題も明らかになっている.それは,「安全性」と「費用対効果」である.新規医療技術導入には必ず安全を担保しうる新たなシステム構築が必要である.本学会では,これまで内視鏡外科技術の指導者を育成する技術認定制度を確立し,死亡事故で社会問題となった肝臓・膵臓領域の高難度腹腔鏡手術では,他の外科系関連学会・研究会と連携して全例に術前NCD登録と術後Audit制度を導入してきた.今回の保険収載においても,国が定める施設基準の中に「関連学会の定める指針に基づき,当該手術が適切に実施されていること」と記されており,本学会として,ロボット支援手術の質と安全性の確保のため,術前NCD登録を承認条件とし術前情報および術後情報の管理を行う方向性が示されている.
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