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本日,平成24年12月6日,第25回日本内視鏡外科学会総会評議員会で第5回大上賞授与式が行われた.受賞者は本誌編集委員,山本 学先生である.大上賞は,本学会創生期に大活躍され2000年に無念にも夭折された大上正裕先生を記念して創設された賞であり,内視鏡外科学の発展に大きな貢献を果たした会員に授与される賞である.私自身の「兄貴分」として育ててくださった大上先生の名を冠した賞を,同じく大切な「兄貴分」である山本 学先生が受賞されたことに,この上ない喜びと感慨に浸りながら,この日を待って「脱稿締切りを過ぎてしまった」編集後記をしたためている次第である.選考では,本学会のパイオニアとして大上先生とともに尽力された貢献に加え,JSESとSAGESの懸け橋となって国際交流を推進し,多くの後輩たちに勇気とチャンスを与えてきた功績が高く評価された.授与式では,学先生はなんとドラキュラ伯爵を思わせる黒いマントにシルクハットという出立ちで登場した.いかにも学先生らしい演出で,会場の参加者は学先生がここで一曲披露するのではないかと息を飲んで見守った.ところが彼の受賞挨拶は,意外にもしんみりと落ち着いた口調で,いつもとは明らかに違う声色で始まった.大上正裕先生をはじめ関係者すべてに謝辞が述べられ,心の底からの感謝と喜びの気持ちが満ちあふれ,謙虚でありながら強い信念が感じられる素晴らしいスピーチに会場は静寂と感動に包まれた.いつもは早口で機関銃のようにジョークを飛ばす学先生の本当の「心の声」を聴いたような気がして私も思わず胸が熱くなった.
同日開催された松本純夫会長主催の招宴では,SAGES会長Dr. SchwaitzbergからSAGES International Ambassador Awardの創設と,初代受賞者として山本 学先生が選出されたことが披露された.まさにJSESとSAGESが同時に彼の永年の偉大な功績を讃える一日となった.思い起こせば大上正裕先生は,多くの人に夢と勇気を与えて人生を駆け抜けた.とくに若手,後輩の成長,活躍の場を与えることに注力された方だ.山本 学先生はまさに大上正裕先生の生き方をもっとも素晴らしい形で受け継いだ方といえよう.ふと,大上先生の満面の笑みが思い出され,「お主やるなー」の声が聞こえたような気がした.
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