特集 急性冠症候群
1.NSTE-ACS特集を組むにあたって―STが上昇したACSが特別扱いを受けるのはなぜか?
香坂 俊
1
Shun KOHSAKA
1
1慶應義塾大学 循環器内科
pp.1-4
発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100493
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■NSTE-ACSという概念の登場
「急性心筋梗塞acute myocardial infarction(AMI)」という言葉だけでは診断名として不十分な時代に入って久しい。
一昔前であれば,AMIという言葉だけで十分に緊急性が伝わり,たまにQやSTといった心電図所見の枕詞をつけてお茶を濁すようなことが多かったが〔例:Q波梗塞,ST上昇型心筋梗塞ST elevation myocardial infarction(STEMI)〕,21世紀に入ってからトロポニンが心筋梗塞の概念を根底から変えてしまった。その活用によって,わずかな心筋壊死であっても拾い上げることができるようになり,逆にこうしたバイオマーカーの導入が心電図変化のない心筋梗塞という概念1)を登場させるに至る。いわゆる非ST上昇型心筋梗塞non-ST elevation myocardial infarction(NSTEMI)である。NSTEMIは当初は「小さな梗塞」にすぎないという見方もあったが,やがて頻度/リスクともに,STEMIのような「大きな梗塞」と遜色ないものであることが明らかとなってくる。
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