特集 CRRT
1.私の血液浄化考
内野 滋彦
1
Shigehiko UCHINO
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科 集中治療部
pp.239-240
発行日 2010年4月1日
Published Date 2010/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100284
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2009年8月に神戸で行われた第56回日本麻酔科学会学術集会で,とある大学病院麻酔科の宣伝ポスターに,「集中治療部-人工呼吸,血液浄化など」という記載があるのを見かけた。つまり,集中治療と言えば人工呼吸と血液浄化が代表みたいなもの,という印象があるために,こういう記載になったということらしい。もし読者諸兄が“それはそうだろう”と思ったのだとしたら,それは必ずしも正しくない。
人工呼吸管理の必要性はICUの入室基準の1つとして一般的に考えられているし,文献上もICU症例における人工呼吸の施行頻度は約30%と報告1)されており,人工呼吸がICUの重症患者管理を代表しているというのはうなずける。それに対し,急性腎傷害 acute kidney injury(AKI)に対する腎代替療法 renal replacement therapy (RRT)の施行頻度はICU患者の約4%程度である2)。最近でこそAKIやRRTに関する研究を集中治療系の国際雑誌で多く見かけるようになったが,私の師匠であるDr. Bellomo*1が,Society of Critical Care Medicine(SCCM)の年次総会のプログラムを見ながら,「今年もRRT関係の発表はほとんどない」と嘆いていたのを聞いたのはそんなに昔のことではない。どうも,“集中治療=血液浄化”というイメージが以前から日本にはあるような気がする。
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