症例ライブラリー 術中の緊急コンバージョン—方針転換に対する迅速な対応
巻頭言
秋吉 浩三郎
1
1福岡大学医学部 麻酔科学講座
pp.1137
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101203109
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- 文献概要
多くの手術は当初の計画どおりに進む。しかし,緊急手術で予期せぬ所見や患者状態の変化があったり,術中に合併症が生じたりして,手術の方針を大きく転換せざるを得ない場面:コンバージョンに遭遇することもある。想定外の事態に直面し,手技に集中している術者がコンバージョンの決断をするのは難しい。判断が遅れれば患者は危機に陥る。想定外の事態に対して,必要な準備を迅速に進めなければならないが,医療従事者それぞれがまとまりなく動くと,無駄な時間だけが過ぎ,患者の状態はさらに悪化していく。
手術にかかわるすべての医療従事者は,手術を安全に終えるという目的に向けて協働するチームでなくてはならない。麻酔科医は,限られた時間の中で,麻酔管理のみならず,関連領域の医師および医療従事者と協働・協力し,術中の迅速な対処から術後管理まで,患者中心の医療を実践しなければならない。患者の命を預かるコンダクターとしての麻酔科医の能力が問われている。
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