症例ライブラリー 周術期の低体温
巻頭言
立花 俊祐
1
1札幌医科大学 麻酔科学講座
pp.1267
発行日 2023年12月1日
Published Date 2023/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202754
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- 文献概要
“体温”というバイタルサインについて掘り下げて考える機会はそれほど多くないのかもしれない。麻酔管理中の生体情報モニター画面には,血圧,心拍数,酸素飽和度,カプノグラムと呼気終末二酸化炭素分圧を中心として,最近重要視されている筋弛緩モニタリングや麻酔深度モニタリング,そして心臓大血管手術であれば肺動脈圧や局所脳酸素飽和度といった華麗なる測定値が踊っている。もちろんここに体温も表示されているが,これらのモニタリング値に比べれば,控えめだ。
しかし,恒温動物である哺乳類ヒト科に属し,かつ眠っている患者のさまざまなモニタリング値から患者の訴えを読み取る能力を鍛えてきた麻酔科医は,体温についても科学的な思考を巡らせることができるはずである。本症例ライブラリーが「どうする? 低体温」の答えだけでなく,体温調節機序についての網羅的な理解を促す機会となれば幸いである。
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