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麻酔器の始業点検—初期研修医向けオリエンテーションにて
宮坂 清之
1,2,3
Kiyoyuki MIYASAKA
1,2,3
1国立成育医療研究センター 麻酔科
2聖路加国際病院 麻酔科
3東京女子医科大学 麻酔科
pp.80-86
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202164
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麻酔科研修に来た初期研修医に初日の朝から症例を担当させると,緊張に震える手でVラインを入れ,酸素を6L流せと言えば何も繋がっていない補助流量計のノブをひねり,換気はAPL弁開放のままぺしゃんこのバッグを困った顔で必死に揉もうとする。喉頭鏡を渡すと右手で受け取り…いちいち修正しながら何とか導入を経験させるというのは,たとえ上級医が在室してフォローするとしても,患者安全という観点からはもちろん,研修医本人の精神衛生上も最適とは言えない。少なくとも喉頭鏡の持ち方や,麻酔回路に酸素を流す方法などを伝えてから診療にあたらせるのが患者への最低限の礼儀ないし義務である。自習資料として参考書や公式の研修マニュアル,非公式な怪文書が伝承されている場合もあるが,麻酔診療は文章だけでは伝わらない実践的な内容を多く含む。患者の安全のためにも,実践的なオリエンテーションが必要だろう。
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