徹底分析シリーズ ビデオ喉頭鏡:現代の気道管理における立ち位置を探る
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石川 晴士
1
Seiji ISHIKAWA
1
1順天堂大学医学部 麻酔科学・ペインクリニック講座
pp.1162-1163
発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200729
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喉頭鏡は毎日のように使う麻酔科医にとって最もなじみ深い道具の一つです。普段のありふれた症例で気管挿管をスマートに決めるのも,困難な症例で苦労しながらもなんとか挿管を成功させるのも,優れた道具があればこそ。喉頭鏡にこだわりがない麻酔科医はいないといっても過言ではないでしょう。
そんな喉頭鏡をめぐる環境が,最近,大きく変わってきました。麻酔科医にとって長い間標準的だった(「だった」とここではあえて過去形とします)直接視型喉頭鏡にかわり,さまざまな種類のビデオ喉頭鏡が台頭してきたのです。ある大規模病院では,20室近くある手術室すべてにビデオ喉頭鏡が常備してあり,いつでも使えるようになっています。そこでは最初からビデオ喉頭鏡を使う麻酔科医がいる一方で,最初は直接視型喉頭鏡でとりあえずトライする麻酔科医もいるので,看護師が麻酔科医にどちらの喉頭鏡を使うのかを尋ねるのが日常になっています。筆者が研修医だった四半世紀前には予想もできなかったことです。さらに新たな喉頭鏡(あるいはその代替品)が開発されると,麻酔科医の日常にもっと大きな変化が訪れることになるのかもしれません。新しく有用で副作用の少ない薬物が市場に出回るようになるたびに,古い薬物は麻酔の現場からしだいに姿を消していきました。直接視型喉頭鏡も同様に「もういらない」のでしょうか。
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