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■先日有明にあるとある病院に行くことになり,昼時でもあったので,病院内のレストランへ。このレストラン,味はもちろん,接客にも定評のある丸の内の老舗が出店しているもの。今,ネットで評判を探してみると,口コミが2件あり,「病院内の食堂とは思えない」「接客がとても上品で丁寧」とありました。また,「レストラン内にあったモニターがテレビじゃなくてお薬の順番が表示されていたこと」に病院を感じたとか。いくつかのブログにも,接客のうまさと,味についてのコメントが見つかりました。ネットはすごい,と関心してしまいます。まあ,いつ書き込まれたかまではみませんでしたが,いずれも,お見舞いする側のコメントでした。で,13時を過ぎてはいたものの順番待ち。混んでいたこともあり,案内された席が入り口近く。そうしたこともあり,外の景色も遠く,施設としての素晴らしさは感じられず,席と席との間隔も狭く感じられ,十分に病院のレストランでした。
それよりも何よりも気になったのが,私たちの後に順番待ちをしていた外科系の病院スタッフたち(多分)。彼らは,手術着に白衣,一人は手術着に手術キャップ姿。以前,信濃町の病院のレストラン(であったかと…多分)で,白衣は脱ぐようにとの注意書きがあったことを思い出しました。職員食堂ではなく,多くの人が集まるレストランで仕事着はまずいでしょ,ということのようでした。で,彼らの順番がきた際どうなるかと…。はたして,彼らはそのままの姿で,ウェイターによって席に案内されていきました。老舗運営の,病院にあって病院らしからぬレストランだけに「白衣はご遠慮ください」の一言があるのではないかという私の期待はみごとにスルーされ,そして着席。
しばらくして,同行者が,「あの帽子,着脱が難しいのでしょうか?」と,まじめな顔をして聞いてくるので,「髪の毛がはみ出ないようにとか,お作法はあるようだが」と答えたものの,使い捨てのキャップ,そんなわけないだろうと,おかしくなってしまいました。そうなると今度は,いろいろなことが気になり始めます。ここの手術場,履き物を取り替えるのかしら,実験をしてきたなら,どんな薬物を使用していたのかしら。もちろん彼らへ向けられていた注意は,あちらこちらに飛んでいきます。隣の老人はかつ丼を,ご飯をぼろぼろこぼしながら食べているけど,具合は大丈夫なのかしら,前に座っているのは息子さんで介添え?向こうに座っている品のよいご婦人はお見舞い,それとも…まあ,ここは病院のレストランなのです。
そう言えば,夏のドレスコードが編集会議で話題になったおり,ある施設では,院内のカフェ,レストランへの白衣姿での入室が禁止されているという話が出ましたっけ。その際,仕事着での食事なんておいしく食べられないからイヤ,と誰しもが反応。となると,件の彼らがこのレストランでとる昼食はどんなものなのでしょう。空間こそ違え,医局で冷たくなった店屋物をかき込むのとなんら変わらないのではと,いらぬ心配。そう言う私はいったい何を食べているのやら…そう,ここは,とある病院にある,病院らしからぬ病院のレストラン。
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