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■「緊急出版 相次ぐ論文捏造,データ改ざん!科学者の不正行為はなぜ繰り返されるのか?」という帯に惑わされたと言えばそれまでですが,手にとって中を開いて,プトレマイオスやニュートンについての記載があることを確認し,これだったらいいやと,購入したのが『背信の科学者たち:論文捏造,データ改ざんはなぜ繰り返されるのか』(講談社ブルーバックス)。自宅に戻り早速,訳者序文から読み始め,そこで本書が1988年に化学同人から出版された『背信の科学者たち』であることに気がつきました。本書は昨年11月の出版でしたが,「発掘!あるある大事典」の捏造が報道されていたときだけに,“緊急出版”の帯,本書もそれにあわせての出版かと勝手に勘違い。まあ,旧版以降に起こった事件を踏まえた「訳者解説」や「事件年表」「参考文献」,おまけに索引もあり,本書は本書でたいへん面白く読んでしまいました。
「あるある大事典」の納豆ダイエットの内容は知りませんが,スーパーの棚から納豆が消えた事実には直面しただけに,その理由を知り驚き呆れるばかり。それにしても,納豆で痩せるということ自体を信じることができるかどうか,番組を見ていない私には何とも言えませんが,実に不思議でなりません。ちょっと考えれば,いささか無理がありそうだと考えたくなるのは,捏造報道のあとだからでしょうか。それとも,科学者のことを,いまだに錬金術師と同じ輩だと,疑ってかかる性格だからでしょうか。ともあれ,実験をする,もっともらしい数字を示す(視聴者の期待に応えられるように,データを改ざん,捏造),権威を引っ張り出すのは,バラエティー番組ならではのサービスといったところでしょう。海外の専門家は別として,国内の研究者もそうした認識ではなかったのではないでしょうか。“学問”ではなく“洒落”のつもりですから,今まで何もあえて発言しなかったのではないでしょうか。
それにしても,現代人の健康志向には驚きです。TV番組しかり,食品,サプリ,ダイエット,フィットネス…。世界一の長寿国であり,かつ高齢者への医療・介護などへの不安故に,いつまでも健康な体でなければと思い詰めなければなりいません。
そうしたことを考えると,今注目のメタボリックシンドロームだって,予防医学とはいえ,この健康ブームの流れにちゃんと乗っているわけです。内臓脂肪が問題だ,ウエストは何センチ以内でなければいけないなんて,なんだか,霊感商法と同じだと言った医師がいました。なるほど,今この水晶玉を購入しないと,あなたの家族には災いが起きますよ。水晶玉の代わりに,ダイエットやサプリに,時に納豆に走っているというわけです。
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