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間質性肺疾患(interstitial lung disease;ILD)は,特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias;IIPs),過敏性肺炎,膠原病に伴うILDなど多様な疾患を包括する疾患群です.近年,その罹患率は増加しており,死亡者数もCOPDを上回ることが指摘されています.IIPsは,ILDの約半数を占め,ILD全般の考え方の基礎となる中心的な疾患群です.一方,呼吸器内科医にとって,IIPsの正確な診断は容易ではなく,呼吸器内科医,放射線科医,病理医などが連携した多職種合議(multidisciplinary discussion;MDD)が診断のゴールドスタンダードであり,臨床経過における疾患挙動を踏まえて診断を再考する作業診断(working diagnosis)も重要とされています.また,IIPsの治療において,エビデンスに基づく有効な治療法は依然として限定的です.しかしながら,近年の診断・治療に関する様々な研究により,新たな知見も集積されつつあります.診断においては,Webを活用した遠隔MDDの有用性が実証されるとともに,学会主導によるMDD認定医制度が開始されています.本邦におけるIIPsの疾患重症度分類は新たなエビデンスに基づき改訂され,また,IPFをはじめとする慢性線維化を伴うILDに対する新規薬剤の開発やRCTは盛んに行われています.IIPsを取り巻く諸問題においても,分類不能型ILDの取り扱い,IIPsと鑑別が重要となる線維性過敏性肺炎,膠原病に伴うILD診断・治療指針の改訂,間質性肺炎合併肺癌に対する治療,ILDに伴う肺高血圧症に対する診断・治療,ILDにおける栄養管理や緩和ケアの意義など,様々な領域で研究が進められています.加えて,CTで偶然指摘される軽微な間質性陰影であるILA(interstitial lung abnormality),膠原病的背景を有するILDとしてIPAF(interstitial pneumonia with autoimmune features),進行性の線維化を呈するPPF(progressive pulmonary fibrosis)といった概念も踏まえた,包括的かつ縦断的な診療がますます重要になっているといえます.さらに,2025年には間質性肺炎に関する国際分類の改訂が報告されました.
このように,ILD診療は現在も大きく変化を続けている領域といえます.いまだ混沌とする現状を踏まえて,本特集ではILDの中でIIPsに焦点をあて「特発性間質性肺炎を再考する—StandardとUnmet medical needs」と題して,IIPsに関してこの分野のエキスパートの先生に概説いただくとともに,近年注目されているIIPs/ILDに関する諸問題につき,各専門の先生方に解説いただくこととしました.

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