研究室から
ノーベル医学研究所—生化学部を中心に
勝沼 信彦
1,2
1名古屋大学医学部生化学教室
2ノーベル医学研究所生化学部
pp.397-398
発行日 1958年12月15日
Published Date 1958/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425906050
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私は日本・スエーデン協会のスカラーシツプにより,スエーデンで研究を初めてより半年になります。前庭にノーベルの像を持つ世界有数の当研究所の内容を紹介する事は,日本の研究進展に多くの参考になる事と考えます。ノーベル医学研究所はストツクホルム市北部に位置し,ストツクホルム大学のカロリン病院,カロリン研究所と隣り合つて居ります。入口には日本の桜にかこまれてノーベルの胸像が立つて居ります。当所の生化学部はHugo Theorell教授の為に1937年1月1日に開所され,現在の建物は1948年5月19日に生化学,細胞化学及び神経生理の各部の為に新築されたもので,Crown princeのHis Royal Highnessの手で当時落成式がおこなわれたものです。この構成は地上3階,地下1階の建物の左半がH.Theorell教授を主任とする生化学部で右半はT.Caspersson教授を主任とする細胞化学で蛋白合成と核酸の関係を指示した一門として日本の研究者にも良く知られて居ります。当部は遺伝研究所を附属して居ります。時計台を持つ右に独立した建物はR.Granit教授を主任とする神経生理部で,私を除いて唯一の日本人医学者である千葉医大の本間さんが研究して居ります。その後,生化学,細胞化学部の裏に癌研究部とノーベル賞受賞者で今年1月来日したフオン・オイラー教授の生理化学部があります。
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