Japanese
English
特集 人間の脳
人脳の核医学
Nuclear medicine for human brain
佐々木 康人
1
,
井上 登美夫
1
Yasuhito Sasaki
1
,
Tomio Inoue
1
1群馬大学医学部核医学教室
pp.223-228
発行日 1987年6月15日
Published Date 1987/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904990
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I.脳の核医学検査──変遷──
アイソトープ標識化合物をトレーサとして利用して生体の生理,生化学的機能を評価する専門分野が核医学(nuclear medicine)である。正常の血液-脳関門(bloodbrain barrier:BBB)を通過しない物質を放射性同位元素(radioisotope:RI)で標識して静脈内に投与し,脳局所の放射能を測定して,BBBが破壊された病巣,腫瘍,血管障害などを検出する検査はすでに1940年代に始まっていた。検出器を自動的に移動させながら,臓器上の放射能を一点ずつ測定し,放射能の強さを二次元表示するシンチスキャナの発明(Cassen, B. 1951)1)により,脳シンチグラフィが1960年代の主要な核医学検査となった。当初は131Ⅰ-ヒト血清アルブミン,203Hgクロルメロドリンなどがトレーサとして使用されたが,後に99mTc過テクネチウム酸ナトリウムが繁用されるようになった。単半減期(6時間),低ェネルギーγ線(140KeV),β線をもたないという物理的特性が,シンチカメラの開発2)と結びついた結果であった。
一方,LassenとIngberら3)は拡散性の放射性希有ガス85Kr,133Xeをトレーサとして用い,局所脳血流量を測定した。
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