特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅱ.チャネルに作用する薬物
Ca2+チャネル
河西 春郎
1
Haruo Kasai
1
1東京大学大学院医学系研究科統合生理学講座
pp.418-420
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901625
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細胞膜のCa2+チャネルには,興奮性細胞の膜電位依存性Ca2+チャネル(voltage-dependent Ca2+-channels,VDCCs)以外にも,非興奮性細胞にはストア作動性Ca2+チャネル(store-operated Ca2+channels,SOCs)があることが知られてきた。SOCsはまだ分子の同定や選択的阻害剤の発見には至っていない1)。VDCCsはα1,α2δ,β,γのサブユニットからなることが,特に筋肉のそれでわかっている。このうちα1が6回膜貫通構造を四つ連結して持つ典型的な膜電位依存性チャネル族の分子で,Ca2+チャネルの機能発現には不可欠で,他のサブユニットは機能発現や修飾に関係している。α1サブユニットは分子生物学的に現在8種類知られており,生理的薬理的分類との対応づけが進んできた(表1)2,3)。
VDCCsは活性化するのに必要な電位の大きさから,高電位活性型(high-voltage-activated,HVA)と低電位活性型(low-voltage-activated,LVA)の二群にわかれる。HVA型はだいたい-30mVよりプラスの膜電位から活性化する。これに対して,LVA型はだいたい-60mV以上で活性化し,膜電位依存性の不活性化が強く,-50mVよりプラスの保持電位では完全に不活性化する。
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