Japanese
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特集 神経科学の最前線
酸素センサーによるイオンチャネルと遺伝子の調節
Mechanisms of Oxygen Sensing Controlling Ion Channel Activity and Gene Expression
桑木 共之
1
,
熊田 衛
1
Tomoyuki Kuwaki
1
,
Mamoru Kumada
1
1東京大学医学部生理学第二講座
pp.19-22
発行日 1996年2月15日
Published Date 1996/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901055
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I.酸素濃度のモニターと生体機能の調節
大気は酸素の含有量が多いので,ヒトや肺呼吸をする陸性の動物が,生理的な状態で酸素不足になることは稀である。酸素不足が問題となるのは,高地滞在や心肺能力をこえた激しい運動などの特殊状況,呼吸麻痺や肺疾患による換気障害,閉塞性血管病変などによる血流障害,シアンなどによる組織中毒などの病態時である。
頚動脈小体と大動脈体(あわせて動脈化学受容器arterial chemoreceptorとよぶ)は,動脈血の「酸素センサー」であり,生体全体の酸素供給状況をモニターする。動脈血の酸素濃度の正常値は100mmHg前後であるが,動脈化学受容器の活動は70mmHg以下になると急に盛んになり,呼吸反射などの調節系を駆動する。動脈化学受容器は酸素センサーではあるが,実際は酸素不足に対する警報機構である。
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