Japanese
English
連載講座 新しい観点からみた器官
副腎皮質―層別機能局在とステロイド産生異常の分子機構
Localization of zonal specific functions and genetic detects of steroid hormone synthases
静田 裕
1
,
三谷 芙美子
2
,
石村 巽
2
Yutaka Shizuta
1
,
Fumiko Mitani
2
,
Yuzuru Ishimura
2
1高知医科大学医学部医化学教室
2慶應義塾大学医学部医化学教室
pp.176-184
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900905
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
副腎皮質は図1に示すように,球状層,束状層,網状層の3層からなり,これらは各々機能の異なるステロイドホルモン,即ち鉱質コルチコイド,糖質コルチコイドおよび副腎性アンドロゲンを分泌する1)。代表的で最も作用の強い鉱質コルチコイドにはアルドステロンがあり,主な糖質コルチコイドとしてはコルチゾール(ラットなどのげっ歯動物ではコルチコステロン)そして副腎性アンドロゲンにはデヒドロエピアンドロステロンがある。このように副腎皮質の各層は各々特有のホルモンを生成・分泌し,これを層別機能局在と呼んでいる。従って副腎皮質に起こる病変はまずどの層に病変が生じたかによって決まり,それがそれぞれ特有のステロイド産生異常につながるものと考えることができる。
本章では,まず,副腎皮質におけるこれらステロイドホルモンの生合成系について概観し,特に,最近その実体が解明されたアルドステロン合成酵素(P450aldo)の性質を糖質コルチコイド合成酵素であるステロイド11β-水酸化酵素(P45011β)の性質と比較しながら述べる。ついで,近年,三谷らが見いだした副腎皮質の幹細胞(stem cell)と思われる細胞層に言及し,これらをもとに機能が局在する副腎皮質の3層構造がいかに形成されるのかについて考察する。そして最後に,ヒトにおけるP45011β欠損症とP450aldo欠損症の遺伝子異常について静田らが見出した知見を述べる。
Copyright © 1995, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.