Japanese
English
特集 社会性と脳
痛みの共感と向社会行動
Empathy for pain and prosocial behavior
山田 真希子
1
Yamada Makiko
1
1量子科学技術振興機構放射線医学総合研究所脳機能イメージング研究部脳とこころの研究チーム
キーワード:
痛み
,
共感
,
内集団
,
利他的行動
,
葛藤
,
共有体験
Keyword:
痛み
,
共感
,
内集団
,
利他的行動
,
葛藤
,
共有体験
pp.59-62
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200756
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人間を含む社会集団を営む動物は“共感”と呼ばれる,他個体と心理的につながるための能力を持つ。われわれは,共感によって他人の痛みを理解し,相手を思いやり,救済などの利他的行動をとることが可能となる。しかし,共感は内集団に働くものとして進化したため,誰に対しても共感するとは限らない。また,痛み共感には痛みの共有による苦痛が伴うため,利他的行動を妨げる可能性もある。痛みの共感が,どのように人と人を結びつけているのか,向社会行動とどのようなかかわりを持つのかについて,これまで得られている認知神経科学の知見から概観する。そして最後に,痛みの共感が,痛みの真の“共有”であるかについての論争に触れる。
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