Japanese
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解説
音色で感じる聴覚の世界
Evaluation of sound quality in daily life
難波 精一郎
1,2
Seiichiro Namba
1,2
1日本学士院
2大阪大学
pp.323-329
発行日 2009年8月15日
Published Date 2009/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100861
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Ⅰ.音色を手がかりに外界を知る
親しい知人であれば電話の声を聴いた瞬間に誰からの電話であるかわかる。環境の中には多くの音源が存在するが,それが何の音かの識別の手がかりとなるのが音色である。外界にどのような音源が存在し,それがどのような動きをしているか知ることは適応上重要である。現実の環境に混在しているいろいろな音源を分離し,それぞれの音源が空間のどの位置を占めているか明確にすることは決してやさしい仕事ではないはずだが,耳はそれをいとも簡単にやってのける。
もちろんコンピュータを用いて複合音の周波数分析をすることは容易にできる。しかし,スペクトル構造を見ただけでそこにどのような音源からの音が含まれているのか識別することは困難である。音源識別の手がかりは周波数成分だけでなく音の時間的変化のパターンや,さらに物理量以外の多くの要因が音源の識別に貢献しているからである。各音源が持つ固有の音色,あるいは音源間の音色の相違が音源の識別の最大の手がかりといえる。
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