連載 「身体拘束」を問う・2
大畠一也さんのこと
長谷川 利夫
1
1杏林大学保健学部作業療法学科
pp.540-545
発行日 2022年11月15日
Published Date 2022/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689201067
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前号(2022年9月号)に、ニュージーランド国籍のケリー・サベジさんが、神奈川県の精神科病院で身体拘束を10日間され続けた後に心肺停止となり、その後亡くなった事実を書いた。私はケリーさんの兄パットさんらと“精神科医療の身体拘束を考える会”を立ち上げ、そこに私個人の携帯番号を公開し、常時身体拘束に関する相談を受けられるようにした。すると実にさまざまな相談が寄せられるようになった(写真)。
一番多いのは、家族が身体拘束されたが会えない、そしてなかなか外してもらえないというものだ。息子さんが3か月間身体拘束をされ続けているが会わせてもらえない、エコノミークラス症候群により命も心配だと訪ねてこられたお母さんもいた。そのお母さんと私は弁護士らと共に、息子さんが入院している医療観察法病棟を訪ねた。息子さんは病棟の奥から、拘束具を外され、看護師に連れられて面会室まで出てこられた。一緒にパンとジュースをいただきながら30分ほど歓談したが、手首を見ると拘束具の跡が付いていた。面会が終わると「再拘束」されるらしい。「なぜ?」と強く思った。何かの「おそれ」があるからだろうか?
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