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レポート
訪問看護と脳外傷後遺症―訪問看護婦に求められる理解
Home care nursing for the patients with various symptoms secondary to head injury
天野 惠市
1
1東京女子医科大学脳神経外科
pp.396-403
発行日 2000年5月15日
Published Date 2000/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688902375
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はじめに
頭部外傷後にいろいろな症状が起こることは古くから議論されTrimble1)によれば1760年代にはすでに医学的文献として報告されている.頭部外傷すなわち頭部に外力が加わった場合にもっとも重要なことは,脳そのものに障害が起きていないかどうかということである.つまり頭部外傷というよりも脳外傷があるかどうかということが問題となる.脳外傷が引き起こす問題には大きく分けて形態上の異常(いろいろな頭蓋内血腫・脳挫傷・脳浮腫・脳内での瘢痕形成・水頭症など)と機能上の異常(頭痛・めまい・耳鳴りなどの全般症状または運動麻痺・言語障害・視力障害などの局所の神経欠落症状および徴候)の2つがある.この2つの異常がそれぞれ単独に起こることもあるが両者がともに存在していろいろな症状やもろもろの臨床的な問題を起こすことがある.例えば,コンピュータ画像診断(CT,MRI)で見ても脳の形態上の異常はまったく存在しないが患者は頭痛という機能上の異常を訴える場合とか,過去の脳外傷による脳内瘢痕形成がCT画像上認められ形態的な異常があるにもかかわらず全く無症状つまり機能的な障害がない場合もある.形態と機能の異常がともに存在する例は脳内瘢痕形成が画像上存在し,そのために,てんかんという機能の異常が起きている場合を考えれば理解できよう.
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