連載 介護することば 介護するからだ 細馬先生の観察日記・第16回
ことばにされないルール
細馬 宏通
1
1滋賀県立大学人間文化学部
pp.1000-1001
発行日 2012年11月15日
Published Date 2012/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688102356
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高齢者用グループホームでは、レクリエーションの内容にも一工夫がいる。いつも同じメニューでは飽きてしまうし、体をある程度動かすのが目的だから、少しは運動してもらう内容のほうがよい。一方で、車椅子の人もいればゆっくり歩ける人もいるのだから、それぞれのメンバーがそれぞれのやり方で参加できる方式がよい。
今日のレクリエーションはバレーボールでーす、と職員さんから声がかかった。といっても、職員さんが手に持っているのは、固いゴム製のバレーボールではなく、浜辺で遊ぶようなビニル製のボール。そして、利用者さんはテーブルを囲んで座って、ビニル製のボールを「投げ合う」のだという。それなら「キャッチボール」と言えばいいところだが、なぜ「バレーボール」なのだろう。それは始まってみればわかる。
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