特集 HIV陽性者を受け入れる
訪問看護実施率2.5%が示すこと―「訪問看護ステーションにおけるHIV陽性者受け入れに関する全国調査」から
加瀬田 暢子
1
,
前田 ひとみ
2
1山口大学大学院医学系研究科保健学系学域基礎看護学分野
2熊本大学医学部保健学科看護学専攻
pp.370-374
発行日 2008年5月15日
Published Date 2008/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101067
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調査の背景
HIV/AIDS(ヒト免疫不全ウイルス感染症/後天性免疫不全症候群)は,1981年にアメリカで最初の発病者が現れて以来,“死の病”のイメージとして大きく注目されてきた。いまだそのイメージが一掃されたとは思えないが,1997年以降の抗HIV薬の開発によってHIV/AIDSは今や慢性疾患として位置づけられるようになっている。つまり,AIDSを発症しても,適切な薬物療法を行なうことで社会生活を営みながら治療を継続できるようになったのである。
しかし治療が飛躍的に発展している一方で,HIV感染者およびAIDS患者は増加し続けている1)(以下,AIDS発症の有無を問わずHIV抗体が陽性の人を「陽性者」と表現する)。このような状況では,AIDSそのものは薬物療法でコントロールされていても,他の疾患による問題で在宅での療養を必要とするケースが増加することが予測される。
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