ほっとらいん ふろむ ほんごう
―生き甲斐をもって生き抜くために/患者と医療機関の連帯でがん難民をなくそう―モンブラン登山20周年記念日本縦断シンポジウム
pp.49
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100987
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1987年夏,7名のがん患者がモンブラン山頂に挑み,猛吹雪のなか3名が登頂に成功する。ニュースは世界を駆け巡り,多くの人たちに驚きと勇気を与えた。「全国の無数の人たちが間接的な生きがい体験をされたのではないだろうか」と,同行した伊丹仁朗医師はふり返る。登頂から20年を記念して,生きがい療法実践会とがん患者と家族・遺族の会であるどんぐりの会主催の日本縦断シンポジウムが9月22日の札幌をはじめとして全国8か所で開催された(写真は当日のプログラムより)。
その1つ,2007年11月18日(日),東京・御茶ノ水の全電通ホールで開催されたシンポジウムは,壇上の6人が,それぞれのモンブラン体験を語った。モンブランで絶壁から落ちそうになったところをガイドが止めてくれたと語る高安正明さん(81歳),モンブランは夫に生きる指針を与えてくれたと語る野村カツエさん,無謀だといわれたが生きることへの大切な登山だったと椚(くぬぎ)計子さん。正木智水さんは「モンブランは苦しみの連続だった。雷と雪の中,足を引きずりながら……,いっそ自分に雷が落ちてくれと。思い出すのはそのこと」。紅一点,山頂を極めた番匠和美さんはその後も登山を続け,日本100名山はすべて登ったという。「当時,がんは禁句だった。しかし時代はどんどん変わっていく。モンブランは時代の変わり目だったのではないか」と中野喜美さん。
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